「祖谷渓/徳島県」

2023年02月09日

第四十一話 2月9日は「祖谷渓/徳島県」

祖谷渓(いやだに/いやけい)は、徳島県三好市にある深いV字谷の続く渓谷。祖谷谷、祖谷渓谷ともいう。吉野川支流の祖谷川にあり、全長は10kmにも及ぶ。高さ数十~100mの高低差もさることながら、降水量も多いために樹木が生い茂り、隔絶された深山幽谷の景観を見せる。また一帯は平家の落人伝承がある隠れ里(地理学的には隠田(農民が年貢の徴収を免れるために密かに耕作した水田のこと)集落)として名高く、日本三大秘境を謳う地であり、山麓にへばりつくように住宅が点在する。「とくしま88景」、「日本百景」にも選ばれている。「四国三郎」ともいわれた吉野川は水害が多い暴れ川として知られ、支流のこの川も例外ではなかった。加えて河谷の急峻さもあって、川を跨ぐのは至難の業であった。そのために集落を跨ぐ橋が設けられた。それが西祖谷山にある「かずら橋(重要有形民俗文化財)」であり、また東祖谷山には「奥祖谷二十かずら橋」がある。名物の祖谷そばは有名。祖谷温泉が湧出してからは観光地としての色も一段と高まった。標高が高いために冬期には降雪も確認される。東祖谷には次郎笈(じろうぎゅう。四国山地東部の剣山地に属する山)や三嶺(みうね。高知県と徳島県にまたがる山)、西に進むと大歩危(おおぼけ)、小歩危(こぼけ)がある。いずれも「剣山国定公園」の指定地域。