「白みそ雑煮/大阪府」

2023年08月24日

日本各地で、その内容に特色が現れる雑煮。出汁の素材や味、中に入れる具材、餅の形状など、地域によってさまざまである。正月の三が 日に餅が入った雑煮を食べる風習は、平安時代にはあったといわれる。その後、室町時代に入り、武家の祝い膳としてさまざまな縁起物の 食材も取り入れた雑煮が各地で根づいていくようになる。大阪府で正月に食べられる雑煮は、丸餅と里芋、大根、人参を入れる「白みそ仕 立ての雑煮」である。丸餅は円満と長寿を願い、里芋は子孫繁栄・立身出世、大根は、丸く切れば円満を意味し、亀甲型に切れば長寿を意 味する。人参はそのあざやかな赤色から魔除けのために入れられることがある。白味噌は京都が発祥だといわれており、平安時代からすで につくられていたとされる。当時貴重だった米を贅沢に使う白味噌は、主に貴族の間で食されていた。麦味噌や豆味噌など、貯蔵を目的に発達したほかの味噌に比べ、発酵期間が 1 週間から 10 日と短く、塩も少なめでつくるため、まろやかで甘みのある仕上がりになる。
皮をむいてゆでた里芋と大根を、輪切りもしくは亀甲型に切る。同様に人参を入れる場合は、輪切りにしてゆでる。器に、下準備の終わっ た里芋、大根を入れ、柔らかくした丸餅も入れる。最後にだし汁に白味噌をのばしたものを注ぎ入れていただく。餅は焼くこともあるが、 白味噌の風味を邪魔しないように、ゆで餅にすることも多い。