「ゴーヤーチャンプルー/沖縄県」

2023年12月01日

「チャンプルー」とは沖縄の方言で「ごちゃまぜ」という意味で、豆腐(とうふ)といろいろな食材をいためた郷土料理。ゴーヤー(ニガウリ)を使うときは「ゴーヤーチャンプルー」、マーミナー(もやし)を使うときは「マーミナーチャンプルー」と、使う食材の名前をつける。マレー語やインドネシア語の「チャンプール」が由来といわれている。一般の野菜炒めとの大きな差違は、炒めても崩れにくく、独特の風味を持った島豆腐を使用する点であるが、「野菜炒め」というメニューに豆腐が入っていることも沖縄では珍しくない。逆にソーミンチャンプルーのように、豆腐を使用しなくともチャンプルーと呼ばれる例もある。 チャンプルーを「豆腐を炒めた料理」の意味とする立場からは、豆腐を用いないものはチャンプルーとは呼ばないのが慣習であって、麩やそうめんなどの炒め物は別の呼称(麩なら「フーイリチー」、素麺なら「ソーミンプットゥルー」や「ソーミンタシヤー」)を用いるべきであると主張される。また、チャンプルーという用語は炒め物の中でも強い火力で短時間に調理される場合に限って用いられ、昆布や中身(豚の臓物)、根菜類のように比較的時間をかけて炒め煮にされる料理は「イリチー」(炒り付け)と呼んで区別されるのが通例である。安価な食材、家庭菜園で獲れる野菜、ありあわせの素材など、材料は多彩である。ニガウリ・キャベツ・タマネギ・ニンジン・モヤシといった野菜や、島豆腐、豚肉(またはポーク・コンビーフハッシュ・ツナなどの缶詰類)・卵などが多く使われる。平鍋に豚脂を溶かし、素材を順々に炒める。現在ではフライパンや中華鍋にサラダ油を引いて炒める場合が多い。豆腐・ポーク缶などの味に加えて塩・醤油・かつおだしまたは化学調味料などで味付けをする。砂糖を入れて少し甘くしたり、風味付けに鰹節やピーナツバターなどを用いることもある。溶き卵を加える場合は、最後に混ぜ合わせて仕上げる。ゴーヤーは「夏野菜の王様」といわれ、ビタミンがたいへん多い野菜。沖縄に長生きの人が多いのは、伝統食であるゴーヤーをよく食べることも理由のひとつとされている。ゴーヤーの苦み成分には食欲を増すはたらきがあるが、苦手な人はうすく切って塩もみすると、食べやすくなる。