不動産屋が行う「重要事項説明」とは?

2022年06月25日

不動産屋が行う「重要事項説明」とは?

1.重要事項説明の目的は買主の保護

重要事項説明とは、宅地建物取引業法(宅建業法)という法律に定められた手続きで、不動産の売買をするときには必ず行わなければならない。そして、その目的のひとつは買主の保護。不動産は「一生に一度の買い物」と言われるくらい購入頻度が低いので、一般の方は不動産に関する知識や経験がほとんどない。高額な不動産を購入するにあたり、買主の誤った認識や勘違いで損害を被らないようにするために、重要事項説明という手続きが義務づけられている。

 2. 重要事項説明のタイミングと説明者の義務

宅建業法では、重要事項説明は必ず契約の前に行うと決められている。また、宅地建物取引士が押印した書面(重要事項説明書)を買主に交付し、取引士が対面で説明しなければならない。

※不動産賃貸の重要事項説明では、①安定した双方向通話が可能 ②文字・音声を十分に認識できる ③事前に説明書類の送付しておく、などが整っている環境下であれば、パソコン・テレビ等の端末を使っての説明が認められている。

 

3. 説明を受ける側の心構え

一方、重要事項説明を受ける買主にはどのような心構えが必要なのか。前述の通り、重要事項説明の目的は買主の保護だから、契約前にその内容をしっかり理解し、納得することが重要。説明を受けた後には、買主も重要事項説明書に押印することになる。記載された内容について、「聞いていない」「説明されていない」は通用しないと心得ておくこと。

 

4. 重要事項説明書の内容は「権利」「義務」「制限」に置き換えると分かりやすい

重要事項説明書には、なじみのない法律用語や、専門用語が出てくるので、すべてを理解するのは難しい。そこで、難解な用語や言い回しにはこだわらず「自分が何らかの不利益を被ることがないか」という視点で解釈してみること。方法としては、書かれている内容を、買主から見た「権利」(することが出来る)「義務」(しなければならない)「制限」(してはいけない)に置き換えて考えると理解しやすい。

例えば、「予定しているローンが承認されなかった場合、買主は契約を白紙解除できる」という内容は、買主が一定の条件のもとに契約を解除できる『権利』を意味する。また、「私道やガスなどの負担金がある」という内容は、買主に金銭の支払い『義務』があることを意味する。また、「対象となる土地の建ぺい率が50%である」という内容は、建物の建築面積が土地面積の50%を超えてはいけない、という建築基準法の『制限』を受けることを意味する。このように、その内容によって自分にどのような権利や義務、制限が生じるのかを確認しながら説明を受けると理解しやくなる。

 

5. 重要事項説明書だけで分からないことは「告知書」で確認

重要事項説明書の内容は、不動産業者が役所や現地を調査した上で作成。しかし、売主(現所有者)しか知らない状況や不具合がある可能性も否定できない。そこで、売主の協力を得て「告知書」を提出してもらい、それを重要事項説明書の内容に反映させたり、告知書そのものを買主に渡したりして後々のトラブル防止を図ることもある。

※告知書は「物件状況確認書」等と呼ばれることもある。