重要事項説明書

2022年06月29日

6、重要事項説明書のチェックポイント

ここでは特に気をつけたいポイントに絞って解説する。

 

6-1. 物件に関する事項

 

①    登記された権利の内容

 

不動産登記の権利部には「所有権に係る登記」と「所有権以外の登記」の2つがある。所有権に係る登記については、現在の所有者以外の権利(所有権移転仮登記・買戻し特約の登記 等)がないかどうかチェックするこうした登記があると、購入後に所有権を巡るトラブルに進展する恐れがある。また、所有権以外の登記については、金融機関の抵当権が登記されていることが多いが、通常、引き渡しまでに抹消することが条件になる。

 

②    法令上の制限

土地の利用に対して主に制限を受ける法令は都市計画法と建築基準法。都市計画法では主に「用途地域」や「地域地区」について、建築基準法では主に「建ぺい率・容積率」や建物の「高さ制限」などについて記載されている。これらの制限により建てられる建物の階数や用途などが決まるので、よく確認すること。

 

③    道路との関係

道路は建物を建てる上で非常に重要なもので、原則として、道路に2m以上接していないと建物を建てることはできない。また前面道路の幅が4m未満の場合には、道路に面する一定部分を後退(セットバック)させる必要が生じる。道路の種類(公道・私道)、幅員、私道の場合には負担金の有無などをチェックすること。

 

④    給排水・ガス・電気等のインフラ整備

水・ガス・電気などのインフラについては、その有無はもちろん、公営か私設かを確認する。公営ならほぼ問題ないが、私設のインフラは負担金が必要だったり、将来的に改修が必要になったりする可能性がある。

 

6-2. 取引条件に関する事項

 

①    契約の解除に関する事項

契約を解除できるケースと解除できる期限についてしっかり把握しておくこと。また解除時に支払済みの手付金等が返還されるかどうか、違約金が発生するのか等も確認しておくことが大切。

 

②    金銭の貸借に関する事項

ここには利用する予定の住宅ローン(金融機関・金利等)が記載されるが、融資特約による白紙解除の要件になるので、金融機関名や融資条件に間違いがないかよく確認すること。「都市銀行等」などの曖昧な記載は好ましくない。また、「融資利用の特約の期限」までは白紙解除できるが、それを過ぎると違約金が発生することもあるので、日付の確認もしっかり行うこと。

 

6-3. その他のチェックポイント

 

①    登記簿謄本、建物図面などとの照合

重要事項説明書には、説明対象となる「不動産の表示」が記載されている。土地については、所在地・地番・地目・地積(土地面積)等が、建物については、所在地・家屋番号・構造・床面積等が記載される。この内容が登記簿と一致しているかどうかチェックすること。

地積については、登記簿の面積と実測の面積が一致しないことがある。この場合は、どちらの面積に基づく売買かを明確にしておく必要がある。また建物についても、登記後の増改築等で面積が一致しないことがある。その場合は、増改築時の図面をもらい確認しておくとよい。

 

②    将来、何らかの影響を受ける可能性の有無

将来の生活環境に影響を与える可能性のある事項についても確認すること。例えば、隣地に日照・通風を妨げる建物や、騒音や悪臭を生じる施設などの建築計画はないか。また、前面道路の拡幅や用途地域・地域地区の変更など、行政による将来計画の有無も確認しておくとよい。