「筑波山/茨城県」

2022年12月29日

筑波山(つくばさん)は、関東地方東部、茨城県つくば市北端にある標高877mの山。筑波山神社の境内地で西側の男体山(標高871m)と東側の女体山(標高877m)からなる。雅称は紫峰(しほう)。筑波嶺(つくばね)とも言い、茨城県のシンボルの一つとされる。富士山と対比して「西に富士、東に筑波」と称され、茨城県の県西地方からの眺めが美しいとされる。全域が「水郷筑波国定公園」に指定された保護エリアであり、中腹から山頂付近は特別保護地区(自然公園法)に指定され筑波山神社境内地となっており、古くから樹木および木竹以外の植物の損傷・植栽、動植物の捕獲・採取等が禁じられてきたほか、火器の無許可使用、リード無しのペット散歩等の行為も禁止されている。『万葉集』にも詠まれ、「日本百名山」、「日本百景」に選ばれている。百名山では最も標高が低く、開聞岳(標高924m)とともに1,000m未満の山である。独立峰にみえるが、実際には八溝山地(やみぞさんち)最南端の筑波山塊に位置する。火山と誤解されることもあるが、実際には火山ではなく、隆起した深成岩(花崗岩)が風雨で削られて形成されたとされる。なお、山頂部分は斑レイ岩からなる。高さは長らく三角点の標高である876 mとされていたが、1999年(平成11年)に877 mに変更された。筑波山は石岡市および桜川市にもまたがる。男体山・女体山山頂には筑波山神社の本殿があり、山腹には拝殿がある。筑波山神社拝殿には坂東三十三箇所25番札所の筑波山大御堂(おおみどう。中禅寺)が隣接する。筑波山は、ガマの油売りの口上などでも知られる。山中には巨石、奇石、名石が数多く散在し、それぞれに名前がつけられ、多くの伝説を生み、それらに対する信仰が今日でも受け継がれ、山そのものが「神域」として崇められている。筑波神社境内社や随神門など、県や市の指定文化財となっているものが多数存在する。開山以来、「結界」が張られており、荒れた時代もあったが、現在でも「霊山」であり山の万物が「神体」とされている。「夜間は男体・女体の神々が御幸ヶ原に出現する」ため「二人の遊楽を妨げてはならず入山しない」とする文化がある。関東平野を一望するロケーションの良さからアマチュア無線用中継局・筑波山レピータもある。関東平野の北東部にあることと、同平野では希有な独立峰的な山であることから、気象観測や無線通信の上でも重要な拠点とされ、山頂付近には数多くのアンテナが存在する。筑波山からは富士山の美しい景観を眺められるため、2005年(平成17年)に「関東の富士見百景」に、2007年(平成19年)に「日本の地質百選」に選定された。最後に戦争秘話を一つ。「真珠湾を攻撃せよ」と命じる暗号は「ニイタカヤマノボレ(新高山登れ)」が有名であるが、「直ちに帰投せよ」を意味する暗号は「ツクバヤマハレ(筑波山晴れ)」であった。

 

「日本百景」シリーズ。第二十四話で今年を締めくくりたいと思います。ご愛読をいただき誠にありがとうございました。皆様にとって、来年もよい年でありますように祈念申し上げます。